2009/02/15

IndianScout741と約束。。。


長年バンカラの倉庫で眠っていたインディアンスカウト741が遂に陽の目を見る事になります。

・・・、このバイクは戦後、広島の資産家の方が米兵から直接買われた車両でずっと広島の地にありました。

所有者の方が亡くなられて10年以上経過したとある日、その方の奥様から1本の電話がありました。
「インディアンがあるのですが引き取っていただけませんか?」と。

受話器の向こうから聞こえてくる声は、もうお婆ちゃんと云っていいくらいの声をした婦人でした。私はそんな年配の婦人の方から「インディアン」と云う単語が出て来た事に本当にびっくりしました。

数日後、年配の婦人の方だから何かの間違いかもしれないとの思いを持ちながら車両のある御宅へ伺いました。電話で聞いた住所は広島でも有数の高級住宅地で皆も良く知る有名人なども居を構えている団地でした。そんな大きな邸宅が建ちならぶ一角に婦人のお宅もありました。

呼鈴をならすと玄関から品の良い婦人出てこられ、隣にある車庫のシャッターを開けてくれました。バイクにはすっぽりと毛布が掛けられ、その上には何個かのダンボールが積まれていました。私は了解を取りダンボール箱を移動させ、バイクに掛かる大きな毛布を剥ぎ取りました。

・・・・・、それまでハーレーだけを見てきて実際に間近でインディアンを見た事は数える程しかなかったので毛布の下から出てきた車両を見た時には本当に感動しました。と同時に埃の匂いとガソリンの腐った匂いが入り混じった空間に何とも云えない妙な気持ちになったのを覚えています。
目の前に現れたバイクは、「もし本当にインディアンだったらチーフなんかな?スカウトなんかな?でっかいエスカルゴフェンダーが付いているんかな?」っと考えていたのにその時は見ても何なのか解りませんでした。ただただインディアンだなぁと、小さいエンジンのインディアンだなぁと思いました。

一通りバイクを見た後にリビングに通され紅茶とケーキを出して頂きました。その紅茶を飲みながらインディアンに乗っていた若かりし頃の旦那様の話を聞かせてもらったり、旧い写真を見せてもらったり、コルベットに乗って大変な事故をされた時の話など色々と聞かせてもらいました。次々と色々な話をしてくださり、紅茶のおかわりを何杯も注いでくれました。
小高い場所にあるお宅のリビングにある大きな窓から広島市街を見渡しながら婦人の昔話を聞いていると何となく切ない気持ちになり、「またもう少し詳しく調べてやって来ます。」といい家を出ました。

私は39ELに乗って伺っていました。帰り支度をして婦人の前でエンジンを掛けると「あぁ懐かしい音がするわね」と云われ「このインディアンもこんな感じの音だった気がする」と。。。

深々と礼をして39ELに跨ると「またいつでも遊びに来なさい」と云われ、再び深々と礼をしてクラッチを繋ぎバイクを走らせました。

つづく。。。